修善寺の夏目漱石、湯ヶ島の川端康成や井上靖、土肥の若山牧水……ここ伊豆市は殊に文学資産に富んだまちで、稿者の住まう湯ヶ島では、ちらほらと「文学の郷」と書かれた吊り広告が見受けられたりもします。
その「文学の郷」を根城とし、文学にかかわる法人を2024年初頭に設立しました。身の回り(湯ヶ島)の文学のことを基本としつつも、伊豆半島中に点在する文学資源に注目し、盛り立てていきたい——との思いから、法人名はやや仰々しくも「伊豆文士村」と名付けております。
閑話休題。
「文学資源に富んだまちにいるのだから、文学にかかわる定常開催の催しがあってもいいんじゃなかろうか」。伊豆に移住してきた当初から、漠然とこのような思いがあったのですが、法人を設立してちょうど半年経った頃に、「修善寺で過去に読書会を開催したグループがある」との情報を入手しました。それがこの『湯文好日』の方々だと知り、こわごわ燕舎の勝野さんを訪ねました。
その時、勝野さんと稿者の関係は「知り合いの知り合い」。名刺にはやや仰々しい法人名。元来緊張しいで口下手なこともあり、同行の知り合いを紐帯としてなんとか大要をお伝え出来たかどうか……という始末。突然のお話しにも関わらず、快く共催を快諾くださり、11月から3度、読書会を開催することが出来ました。
初回の課題図書は、梶井基次郎「檸檬」。まくら文庫による書下ろし小説と檸檬とのZINEの配布もありました。
黙々と各自のペースで読み進めた後に、気になった箇所などについて、持ち寄りのお菓子をつまみながら意見交換をしました。
これまでの読書会はいずれも著作権切れの近代文学を読み、その感想を述べあう形式で開催しました。作品は短めのものを選び、感想戦の前に30分の読書時間を設けております。あらゆるバックボーンを持つ参加者の方から色々な話を伺うことが出来ており、充実した会になっているように感じております。
読書会自体は月に一度の開催ですが、その他、文学関連のお話が気軽にできるインターネット上の場づくりにも着手しております。時間をかけてでも、楽しく文学と親しめる機会を作ることが出来れば、と感じております。