最近、または、いつだかに読んだ本 #03

このコーナーでは、修善寺に住む人や、修善寺に関わりのある人々による書籍紹介を掲載していきます。身近な人々がどんな本を読んで、何を思い、感じているのか、少しのぞいてみましょう。

『舞姫』

森 鴎外 (ちくま文庫)

 ロマン主義の先駆的な小説といわれている短編小説。若きエリート官僚である主人公はある外国で踊り子の少女と恋仲になります。自由に彼女を愛したいと愛に溺れる一方、自身の保身のため、結局は彼女を捨て、日本へ帰ります。

 小説「桂橋」は、10 年以上 前に「舞姫」というタイトルで 書いた超短編を舞台を修善寺に して書き直したものです。「踊 り子」という存在の美しさと儚 さを感じてもらえたらうれしい です。

紹介者:まくら文庫
修善寺温泉入り口の週末だけオープンするブックカフェ。小説、洋書を中心に蔵書。オリジナルの文庫やZINEを発行する創作活動も行っている。
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☎ 090-3307-8232
OPEN 10:00-15:00(土・日営業)
修禅寺から徒歩10分
Instagram @makurabunko

『草祭』

恒川 光太郎 (新潮社)

 この世界のひとつ奥に広がる自然豊かな美しい田舎町・美奥を舞台に、異なる時代を生きる5人の主人公が紡ぐ、民話のような伝承のような独特な世界観の短編小説集。

 ごく普通の日常と地続きに描かれる、不穏さがありながらも幻想的で美しく、妙に現実味を持って描かれる異世界たち。まるで自分もその世界に迷い込んだかのような不思議な読了感を味わえます。夏の終わり、秋の気配を感じるとふと読みたくなる一冊です。

紹介者:勝野美葉子
修善寺燕舎の店主。生まれ育った修善寺地域の活性化を目指し、お土産物などの商品開発やイベントの企画運営など、様々な活動に取り組んでいる。

『ライオンのおやつ』

小川 糸 (ポプラ社)

 主人公の海野雫は、一人で瀬 戸内の島に渡り、人生最後の 日々を「ライオンの家」で過ご します。若くして余命宣告を受 けた雫や入居者に惜しみなく丁 寧な愛情が注がれるホスピスの 物語です。

 装丁に惹かれて手に取りまし た。いつかこの世から旅立つ時 こんな豊かで穏やかな最期の時 間を過ごせる場所や人と出逢う ことが出来たら幸せです。私が 人生の最後に食べたい「おやつ」 に込めたい物語は何だろうかと 考えます。

紹介者:あなぐまさん
修善寺在住。針仕事と庭仕事、料理が好き。
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修善寺温泉・住民発のローカル文芸マガジン『湯文好日』編集部です。様々な文芸作品を通じ、 季節や時代を超えて、 修善寺温泉を楽しんでいただけるようなコンテンツを発信しています。

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