最近、または、いつだかに読んだ本 #06

このコーナーでは、修善寺に住む人や、修善寺に関わりのある人々による書籍紹介を掲載していきます。身近な人々がどんな本を読んで、何を思い、感じているのか、少しのぞいてみましょう。

『老人と海』

ヘミングウェイ (新潮文庫)

3月の読書会の課題図書だった『老人と海』。夏といえば海、海といえばこの一冊。老漁師サンチャゴと巨大なカジキとの死闘を描いた作品。老人は釣りを通じてしか人生を生きられない、陸ではどんなに孤独で惨めでも、海へ出て、釣りをやらずには生きていけない。釣りそのものが文字通り彼の生業であり、生きる原動力なのだ。釣りを通じて、彼は人生を語り、人を愛し、海を愛する。いつまでもチャレンジし続ける人生は素晴らしい。

紹介者:まくら文庫
修善寺温泉入り口の週末だけオープンするブックカフェ。小説、洋書を中心に蔵書。オリジナルの文庫やZINEを発行する創作活動も行っている。
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☎ 090-3307-8232
OPEN 10:00-15:00(土・日営業)
修禅寺から徒歩10分
Instagram @makurabunko

『超芸術トマソン』

赤瀬川 原平(ちくま文庫)

赤瀬川原平は、前衛芸術家であり随筆家としても活躍した、美術と文学を横断する作家です。タイトルの「トマソン」とは、行き止まりの階段のように、本来の機能を失いながらも建築に付着して残る「無用の長物」を指します。

修善寺を歩いていると、「燕舎」の二階に塞がれた窓、通称「無用窓」を発見しました。

いつもとは異なる目線で路上を歩いてみると、思いがけない発見があるかもしれません。

紹介者:細道 航
gallery kankō店主。現在の営業日は日・月曜日など(不定期)。
これまで、現代美術の展覧会の企画や設営、執筆、編集などを行ってきました。
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Instagram @gallery_kanko

『針と糸』

小川 糸 (毎日新聞出版)

小説家・小川糸のエッセイ集です。当たり前に暮らしている自分の日々の生活との違いにワクワクします。ベルリン、ラトビア、 モンゴル、鎌倉と作者が飛び込んでいった地でその土地に徐々に馴染みながら変化する幸福の尺度が豊かで面白いです。全く違う知らない土地で、お金をかけずに幸せに暮らすのもいいなぁと思わされたりもしました。あとがきは、「どうか皆様の人生が晴れ渡り、すこやかで穏やかな風が吹きますように」と締め括られます。

紹介者:あなぐまさん
修善寺在住。針仕事と庭仕事、料理が好き。
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修善寺温泉・住民発のローカル文芸マガジン『湯文好日』編集部です。様々な文芸作品を通じ、 季節や時代を超えて、 修善寺温泉を楽しんでいただけるようなコンテンツを発信しています。

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