このコーナーでは、修善寺に住む人や、修善寺に関わりのある人々による書籍紹介を掲載していきます。身近な人々がどんな本を読んで、何を思い、感じているのか、少しのぞいてみましょう。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
アンディ・ウィアー (早川書房)
この本を読み終えた人は口をそろえて言うのではないでしょうか。「一切ネタバレを避けて、とにかく読んでほしい!」。
目が覚めると宇宙を彷徨う船に一人。自分は宇宙飛行士ではなく、中学の科学教師でしかないのに。そんな何も知らない主人公と一緒に、怒涛のピンチと感動をぜひ味わってください。広大な宇宙と人間の矮小さに打ちのめされつつも、一歩一歩の努力に喝采の気持ちになります。映画版が公開される前に急げ!
紹介者:図書委員コンざぶろう
夏目漱石と源頼家の聖地巡礼で修善寺を訪れ魅了された文学Youtuber。沼津に頼家の息子・公暁のお墓を建てました。

『イン・ザ・メガチャーチ』
朝井 リョウ(日本経済新聞出版)
ナラティブ、エシカル、ケア、陰謀論、界隈——「物語」に登場するあらゆる要素が、現代社会を映し出しています。
朝井リョウ最新作の『イン・ザ・メガチャーチ』は、ファンダムと呼ばれる「推し」を応援するコミュニティを描いた小説ですが、若者から推し文化に興味がないビジネスパーソンまでをも射程に収め、一気に引き込まれます。
読後には、自分自身や社会について、誰かに話さずにはいられない、そんな一冊でした。
紹介者:細道 航
gallery kankō店主。現在の営業日は日・月曜日など(不定期)。
これまで、現代美術の展覧会の企画や設営、執筆、編集などを行ってきました。
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Instagram @gallery_kanko

『村上さんのところ』
村上 春樹 (新潮社)
自分は何も悪くないのに理不尽なことが起きることってありますよね。この本では、村上春樹がサリン事件で取材した駅員の「自分は被害者ではなく体験者だと思うようにしている」という言葉について問答があります。体験者と捉え直すことで、自分はこの世界に生きているという責任を自分なりに分担したのだ、と能動的に捉えられるようになる、と村上春樹は回答しています。確かにそう考えれば、いろいろな感情が救われそうです。
紹介者:まくら文庫
修善寺温泉入り口の週末だけオープンするブックカフェ。小説、洋書を中心に蔵書。オリジナルの文庫やZINEを発行する創作活動も行っている。
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☎ 090-3307-8232
OPEN 10:00-15:00(土・日営業)
修禅寺から徒歩10分
Instagram @makurabunko