最近、または、いつだかに読んだ本 #10

このコーナーでは、修善寺に住む人や、修善寺に関わりのある人々による書籍紹介を掲載していきます。身近な人々がどんな本を読んで、何を思い、感じているのか、少しのぞいてみましょう。

『虞美人草(くびじんそう)』

夏目 漱石 (岩波文庫)

虞美人草の舞台を70年代にしてみた。」そんな舞台を最近見ました。時代を変えてみると、奔放な女王に見えたヒロイン藤尾さんもまた弱い立場の女性にすぎず、あがいていたこと。達観したように見える甲野くんにも、若者らしい鬱憤があることが浮き彫りになるようでした。

締めくくりの一文は原作通り——「ここでは喜劇ばかり流行る」。いつの時代にも彼らはいる、そう感じられる群像劇です。

紹介者:図書委員コンざぶろう
夏目漱石と源頼家の聖地巡礼で修善寺を訪れ魅了された文学Youtuber。沼津に頼家の息子・公暁のお墓を建てました。

『置き配的』

福尾 匠(講談社)

現代社会では、一つの言葉や身振りすらもが、何かの意味や属性に回収されてしまうように思えます。福尾は、そのような「密」なあり方の中で、「疎」という考え方を提示します。

「疎」な空間とは、日記のようなものです。評価や解釈されることを前提とせず、意味が決めきられないまま残される場所です。

仕事だけでなく趣味や休息までもが目的的になってきている今、「疎」というあり方について考えさせられました。

紹介者:細道 航
修善寺のギャラリー&ショップ「gallery kankō」主宰。これまで、現代美術の展覧会の企画や設営、執筆、編集などを行ってきました。

『海のふた』

よしもとばなな(中央文庫)

よしもとばなな作『海のふた』は、西伊豆の土肥を舞台に、こだわりのかき氷店を開いた主人公と傷ついた少女が心を通わせる物語。

伊豆に夏が来るたびに読み返します。色あせた町にぬくもりを取り戻そうとする姿や、人生の複雑な物事を消化する長い夏休みを過ごす姿、伊豆の夏はいろいろな人たちを包み込みます。詳細はMATOMETOの記事<海のふた>に書いたのでぜひこちらもお読みください。

紹介者:まくら文庫
修善寺温泉入り口の週末だけオープンするブックカフェ。小説、洋書を中心に蔵書。オリジナルの文庫やZINEを発行する創作活動も行っている。
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☎ 090-3307-8232
OPEN 10:00-15:00(土・日営業)
修禅寺から徒歩10分
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