青空ブックカフェ NossoNossoの歩み

こんにちは。青いキッチンカーで古本やドリンクを販売しているNosso Nossoです。

修善寺駅西口や独鈷の湯公園などにもたまに出店しています。実は私たちのルーツは修善寺にありまして。

今回は燕舎の勝野さんにお声がけいただき、私たちのお店について少し書かせてもらうことになりました。

まずはキッチンカーを始めるまでの経緯を少し。

遡ること4年前、私たち夫婦は修善寺温泉街を訪れました。そこでありがたいことにご縁をいただき、お店を借りて週に一回だけカフェをオープンすることになりました。

しかしカフェをやるのは初めてのこと。どういうコンセプトが良いだろうか。お店には元々本がたくさんありました。お、修善寺といえば過去に文人が来たことで知られる地。じゃあ“文豪”をテーマにしたカフェにしよう。

そうして、店名を工夫する創造性もない私たちは、『文豪カフェ』という名のカフェをはじめました。そこから、かつて修善寺を訪れた夏目漱石や芥川龍之介などの作品を読みはじめました。それまでの人生ではあまり触れてこなかった純文学。しかし読んでみると楽しい。修善寺の魅力ここにありと思いました。そんな文豪の作品との接点になってほしい、とカフェを運営していました。

文豪にちなんだメニューを出していた文豪カフェ時代。写真は梶井の『檸檬』とレモネード。
店内の本棚の文豪コーナー。伊豆に来た作家や、個人的に好きな作品を紹介していた。

それから8ヶ月という短い期間でカフェは終了しました。しかし、漠然と文豪カフェでの熱は残っていました。どこからくる熱か。それは、お客さまから集めていたおすすめ本の感想でした。それによって今まで触れてこなかったジャンルの本に興味が湧いたり、好みが同じお客さまと本の話をしたりしていました。そういった交流が楽しくて刺激的だったのです。例えば『断片的なものの社会学』という本を教えてもらったのですが、雨の日に1人読むのにおすすめです。

そんな熱を持っていた5月のある晴れた日。私たちは、お気に入り読書スポットである大仁の市民の森浮橋にいました。持参した椅子とテーブルを用意し、読みかけの本を読み始める。木陰に吹いてくる風があまりにも気持ち良い。“あぁこんな気持ちの良い日に、外で本を読んだりドリンクが飲めるお店がそこにあったらなぁ…よし、『文豪カフェ』のキッチンカー版をやろう”と思い立ちました。

そして、2023年4月に『青空ブックカフェNosso Nosso』をオープンし、約2年半が経ちました。


修善寺もみじ林での出店の様子。紅葉散策って気持ち良いですよねぇ。

ここまでやってきて思うことは、現実は難しいものでまだまだ思い描いていたようなお店にできていないということ。そもそも雨だと出店できないし、暑すぎたり寒すぎたりすると人が出歩かないという、よく考えたら当たり前の、自分たちの力ではどうにもならない問題に悩まされてます。毎週毎日、天気予報をチェックし右往左往しています。それだけでなく、キッチンカーとしての準備や仕込みに日々追われ、古本屋の部分がなおざりになってしまっているという葛藤があります。

ただ、もちろん良いこともあります。おすすめ本の感想が、少しずつではありますが着実に増えてきています。先日はお客さまに『砂の女』をおすすめしてもらい、まだ安部公房の作品を読んだことがなかったので、これを機会に読んでみました。独特な世界観やリアルな描写がたまらなくて、後日その作品で読書会を開催したところ、とても盛り上がりました。このような読書会の開催も今後増やしていきたいと思っています。

また、古本屋として認知されてきて、読まなくなった本を譲っていただくことも増えてきました。大事な本を私たちに託してもらえたことにありがたい気持ちでいっぱいです。あの頃の熱は少しずつ高まっています。私たちらしく、ちょっとずつ温めていきたいと思います。

最後に、私たちの好きな漱石の言葉があります。

「牛になる事はどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。(略)あせっては不可せん。頭を悪くしては不可せん。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。」

馬にもなれず、牛にもなりきれぬ、哀れで醜い、私たちですが、根気だけは忘れずのっそのっそやっていこうと思います。今後ともよろしくお願いします。

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本好き夫婦がキッチンカーで移動式ブックカフェをしています📚(2023.04〜)
古本と、ドリンクのお店です。おとなの方にも人気のチョコバナナあります🍌

公園に来たついでに、ふらっと出掛けたついでに、素敵な本に出会えますように。
静岡県東部を中心に出店しています🌳

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