修善寺温泉では、2026年2月から7月末まで謎解き宝探しのイベントが開催されています。怪人二十面相に狙われたお宝を、温泉場内にちらばる手がかりを集めながら先回りして探し出そう!というもので、どなたでも参加可能です。子供から大人まで、皆さんに楽しんでいただけるような難易度となっています。
『怪人二十面相』は、江戸川乱歩の代表作でもあり、「美術城」という話では、伊豆が舞台として登場します。また、作者の乱歩は温泉場の仲田屋旅館(現・花小道)を定宿に、度々この地に訪れていました。*乱歩と修善寺温泉についての話は、本冊子2024年冬号に掲載しました。

打ち合わせ風景。謎クリエイターの方に、どういった内容のものがいいか、難易度などを含め相談。
ロケハンの風景。温泉場内を半日かけて一緒に巡り、謎制作に使えるようなものや景色、距離感などを確認してまわりました。

私はこれまで、「文豪ゆかりの地」としてのブランディング(というと少し大袈裟ですが…)の一助になればと、本冊子の制作発行を通じて文豪たちのエピソードの掘り起こしや整理と発信をしたり、読書会や朗読会の共同企画にも取り組んできました。しかし、文字を読むこと・本を読むことに距離のある人々や、子供たちにもこの地域の面白さ・奥深さの一片を知ってもらえるような企画もやっていきたいと考えていました。
そこで、候補に挙がったのが「周遊型(フィールド型)の謎解き」でした。現代らしい参加型のエンタメを入り口に、文学への関心のあるなしに関わらず、そして観光客も地域住民もみんなが楽しんでもらえるような企画になるだろうと考えたからです。事前予約も不要でその場で気軽に楽しめるコンテンツとして良さそうだとなりました。
謎解きゲーム・脱出ゲームはコロナ以前から徐々に人気を集め、特に周遊型のタイプは観光誘客や滞在時間の延長と域内消費の増加、地域文化歴史の発信周知などを主な目的に、自治体や鉄道会社、宿泊施設単体が主催者となり、日本全国で数多く開催されています。
関連企業の売上規模は2025年には類推100億以上となり、連動した経済波及効果は5〜10倍との試算もあります。特に若年層の間で人気のコンテンツであり、制作団体数も主催者団体も年々増加しています。
ここ最近は、スマートフォン利用してチャットサービスなどを使いながらヒントなどを集めていくタイプのものも増えています。しかし、今回の企画では、「完全アナログな体験」にこだわりました。これは、修善寺は「アナログな感性が似合う町」だと常々感じていたからです。せっかく風情ある温泉街なので、スマホを持って画面を見ながらではなく紙とペンで完結できた方が参加者の体験としても、その様子を見ている側からしてもステキだろうと考えてのことでした。
開催開始の時期を2月にしたのにも理由があります。修善寺は例年、年末年始が過ぎると河津桜のシーズンまで閑散期となります。見頃を迎える修善寺梅林は温泉場からやや遠く、徒歩圏内で楽しむのは難しい。モミジも葉が落ち、どこか閑散とした雰囲気で観光満足度が低くなってしまうという課題がありました。
謎解きのテーマには怪人二十面相がいいだろうという方向で話を進めていたので、例年2月に乱歩ゆかりの宿である旧・仲田屋旅館で開催される「女将の雛飾り」と組み合わせて、閑散期のにぎわいづくりを目指せるのではないかと開催時期を設定しました。
また、企画を「みんなで盛り上げる」ことができたらいいなという思いから、事業者仲間に協力を募りました。3月には、Wasabi Travel・森田さんによる企画で、怪人二十面相をモチーフにした和菓子の練りきり教室が開催されました。夏に向けて、江戸川乱歩の作品をテーマとした読書会や朗読会の開催も検討しています。

完成した練切り2作品。今回開催のために本と怪人二十面相のモチーフのものをつくっていただきました。
和菓子づくりを楽しんでいただきながら、江戸川乱歩と修善寺温泉の繋がりについても知っていただくいい機会になりました。

開始から2ヶ月半で、ありがたいことに参加者は500名を超えました。私の店舗が謎解きの報告場所になっていることもあり、参加者の方々と会話を交わす機会も多く、その好評ぶりを目にして、やって良かったなと日々感じています。
古いものを守りながら、新しい形で今を生きる人々に楽しく伝える、みんなで面白がっていく、地域に根ざした資源を有効活用していく良いひとつの好事例になっているのではないかなと思います。
ぜひ、引き続き多くの皆さんに遊んでもらえると嬉しいです!

BOUKEN 宝探し IN 修善寺温泉 開催期間:2026年1月30日(金)から7月31日(金) 詳細は特設サイトをご確認ください。