夏の思い出をこれからも

7月・8月の夏の時期、全国各地、そして伊豆半島でも多くの夏祭りや花火大会が開催されています。

一方で、コロナ禍以降、「夏祭りの規模縮小」や「花火大会存続の危機」というニュースを耳にする機会が増えました。その背景には、担い手不足、物価高騰による資金不足、安全対策費の増加など、さまざまな課題があります。私は、その中でも特に大きな課題が「担い手不足」だと感じています。

地域のお祭りは、「人」がつくり、「人」がつなぐものと思っています。先人の方々が築き、長い年月をかけて地域に根付き、受け継いできたものを、次の世代へ渡していく。その役割を担う人が、人口減少とともに少なくなり、今、各地で存続の危機を迎えているのではないでしょうか。

私自身、子どもの頃、友達とお祭りへ行くことが大好きでした。屋台を探しながら、「かき氷は何味が好き?」などと話し、お祭りの雰囲気を楽しむ。私にとって「夏の思い出」といえば、地域のお祭りでした。

だからこそ、今の子どもたちが、お祭りの減少とともに家族や友達と「夏の思い出」をつくる機会を失いつつあることに、寂しさと危機感を感じていました。

そんな中ご縁をいただき、今年75回目を迎えた「きにゃんね大仁夏祭り」の運営に携わらせていただきました。毎年1万人を超える方が訪れ、臨時列車が出るほど地域にとって大切な夏の一大行事です。しかし、商店街の店舗減少や担い手不足など、存続に向けた課題は年々大きくなっており、今回お声をかけていただき、事務局として携わることになりました。

開催日の約4か月前から実行委員会の皆さんと協議を重ね、交通規制や警備、河川での花火打ち上げに関する申請、熱中症や事故などの緊急時対応まで……とにかく「安全第一」で、多くの方に楽しんでいただけるお祭りを目指してきました。

当日、フィナーレを飾った「冠菊」と呼ばれる金色の光の花火が夜空に降り注ぎ、視界一面が花火に覆われた瞬間、会場は大きな感動に包まれ、花火が終わると、大きな拍手が湧きました。

「感動した」「涙が出た」「本当に素敵な花火だった」「家族で良い思い出ができた」。そんな言葉を直接いただき、この日のために多くの方と意見を交わし、悩み、調整を重ねてきた時間が、一瞬で報われたように感じました。そして、夏祭りや花火大会は、決して一人では開催できるものではなく、警察、行政、警備、鉄道、地域の皆さん、そして花火師の方々。多くの人の力が一つになって、初めて成り立つものなのだと、運営を通して改めて実感しました。

毎年大仁で花火を打ち上げてくださる「イケブン」さんは、100年以上の歴史を持つ静岡県内の花火屋さんです。2025年には、フランス・カンヌで開催された国際的な花火コンクール・カンヌ花火芸術祭で最高賞「ヴェスタール賞」と「オーディエンス賞」を受賞されました。

修善寺温泉場で開催される「秋季弘法大師大祭奉納花火大会」でも、その素晴らしい花火を見ることができます。伊豆最古の温泉地と、日本の伝統文化である花火の融合。その美しい景色と歴史を重ねるお祭りの裏側には、多くの方々の協力と尽力があり、その景色を見せていただけることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

担い手不足という課題は、これからさらに大きくなっていくと思います。それでも、この地域の子どもたちが友達や家族と笑い合い、夏の夜空を見上げ、「今年もお祭りに来られてよかった」と思える場所を、私はなくしたくありません。

夏祭りや花火大会は、単なるイベントではなく、そこには、人と人とのつながりがあり、地域の歴史があり、そして一人ひとりの「夏の思い出」があります。

この夏の風物詩を、次の世代へ。

私にできることは小さなことかもしれません。それでも、「人」がつくり、「人」がつなぐ人々の夏の思い出を、これからも守っていきたいと心から思います。

修善寺温泉場の秋季弘法大師大祭奉納花火大会(毎年8月21日開催)の様子。修禅寺の裏山から花火があがるため、地域内の様々な場所から鑑賞ができる。フィナーレを飾るのは、温泉場の中心を流れる桂川へと降り注ぐナイアガラの滝。
花火大会開催情報
きにゃんね大仁夏祭り
開催日:例年8月1日
花火打上げ:19時45分~

弘法大師奉納花火大会
開催日:例年8月21日
花火打上げ:20時15分~

※例年の開催情報です。詳細は観光協会HPなどをご確認ください。
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