今号の表紙のお花は、「クリスマスローズ」です。
クリスマスを冠しているものの、この品種が咲くのは3月になってからのこと。写真撮影も3月に入ってから行いました。
春先になってから咲くのに、なぜクリスマス?と、気になって調べてみました。
そもそもそ「クリスマスローズ」という名前は、原産地のヨーロッパなどでは、ヘレボルス属の原種「ニゲル(h.niger)」のみを指します。
ニゲルは、花の少ない12月末頃、ちょうどクリスマスの時期に白い花を咲かせることから「クリスマスの頃に咲くバラに似た花*」という意味で、「クリスマスローズ」と呼ばれてきました。*しかし、バラ科ではなく、キンポウゲ科
一方日本では、原種・交配種を問わず、ヘレボルス属全体を一括りで「クリスマスローズ」と呼んでいます。
日本での市場流通が多いのは、オリエンタリス系ハイブリッドとも呼ばれているものです。これらは、4月・キリスト教の四句節(レンテン節)の頃に花を咲かせるため、ヨーロッパなどでは「レンテンローズ」、または、それぞれの種名・品種名で呼ばれています。
日本に入ってきたのは明治初期のことで。薬草として輸入されました。和名を原種は「初雪おこし」、レンテンローズは「寒芍薬」といい、俯きに咲くその風情から、茶人たちにより茶席の際の茶花としても用いられてそうです。
知っているようで知らなかった、春に咲く「クリスマスローズ」のお話でした。