伊豆文学まつりレポ#03 修善寺温泉ゆるほめ吟行

2024年3月30日(土)に伊豆文学まつりを開催しました。修善寺温泉ゆるほめ吟行の様子をレポートします!

「伊豆文学まつり」とは、伊豆にゆかりのある文学作品や文豪の魅力を伝える朗読会やまち歩き、講談、公演などの様々なイベントの総称です。市内の各地域で毎年開催されています。

発端

とある雑談の中で、一石庵の原さんがお仲間と俳句を詠む会を開催されていたことをお伺いした。

「俳句会の前に俳句が出来てないと焦っちゃってね。うんうん頭をひねりながら散歩したり、仲間と仕上がり具合を探り合ったりね。昔は誰もかれもが気軽に俳句を詠んでいたんだよ」

そんな粋なお話を聞き、それはぜひ修善寺温泉に文化として残していきたい、と伊豆文学まつりでは日頃、俳句を詠む習慣がないメンバーが無謀にも吟行イベントを立ち上げた。

「吟行」、なんともなじみのない言葉である。しかも主催のメンバーは俳句を詠んだことが(あまり)ない。これはどこか逃げ道を作っておく必要がある。その逃げ道ことが「ゆる」と「ほめ」である。どこまでも「ゆるく」、どこまでも「ほめる」。指摘したり、指導したりは出来ないが、「ほめる」ことなら我々にでもできる!(的を射ているかは関係ない!)

吟行とは

吟行とは、戸外を散策して目に映ったものを題材に俳句を詠むこと。いたってシンプル。修善寺温泉を散策して、思ったことを五七五の言葉に落とし込めばいい(と言い切ってしまいましょう)。

燕舎の勝野さんに「俳句入門」の小冊子をご用意いただき、俳句とは、文字数の数え方とは、などをレクチャー頂く。それから俳号なんかも考えてみて、季語は小冊子に掲載されているものを参考に吟行はスタート。人力車の島川さんに修善寺温泉の名所をご案内いただいて、参加者のみなさんは五文字と七文字に取りつかれたように指を折々…。

日枝神社は「ひえじんじゃ」なので五文字。夫婦杉も「ふうふすぎ」で五文字。「だるま石」は五文字、「お伺い石」は七文字。五文字と七文字を発見してほくそ笑む高尚な一同。

ぐるりと修善寺温泉を周ったら、各々作品を仕上げて…

最後にmost8092に集合。ささやかな発表会を開催。

作品発表

この度は待ちに待つたる開花かな (一貫)
春場所や美脚におわす角力(すもう) とり (一貫)
暴風雨ものともせずに離任式 (一貫)
春の風杉の花粉をどこまでも (あおさ)
川の音春の訪れに涼しさを (あおさ)
目が痛い春の強風黄砂飛ぶ (もずぼら)
修禅寺北条政子の抜け毛あり (もずぼら)
寒桜一足先に夏しよう (もずぼら)
山笑う娘と二人夫婦杉 (金目鯛)
竹林で天を仰ぎて風光る (金目鯛)
日枝神社春の風よし夫婦杉 (人力)
指月殿桜ながめてひとやすみ (人力)
橋の先紅白梅が綺麗かな (人力)
林で寝転び仰ぐ春の空 (鮭ドリア)
重ねた手お伺い石春の夢 (まくら文庫)
春の風人々どける風の道 (針ポタ子)

日常に俳句を

今回の吟行には、県外からの参加もあり、小学生の参加もあり、地元住民の参加もあり、俳句というツールを使って、修善寺温泉という空気感をそれぞれの感覚で表現することができたように思います。

世界で一番短い文学である俳句。何かを表現することは、他者に対する自己主張であると思われがちですが(思っていないかもですが)、実は自分自身に対する自己表現であると思うのです。自分の想いを文字にすることで、自分自身の感じたことを客観的に捉えることが出来ます。それは新たな自分自身の発見でもあります。身近にある五七五の言葉を並べて、風景を切り取る、自分の感情を切り取る、カメラのシャッターを押す感覚で気軽に俳句創作に取り組んでみてはいかがでしょうか。湯文好日では引き続き、ゆるほめ吟行のイベントを開催していきたいと思っています

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修善寺温泉・住民発のローカル文芸マガジン『湯文好日』編集部です。様々な文芸作品を通じ、 季節や時代を超えて、 修善寺温泉を楽しんでいただけるようなコンテンツを発信しています。

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