過去数年間、これからの地域のあり方やまちづくりのあれこれを考えようと、ざっくばらんに話す会を細々と開催してきました。その中で、生まれた企画のひとつが、この「文芸」をテーマにしたローカルマガジン『湯文好日』です。
文芸作品の面白さは、今ここにいながら、異なる時代や季節、場所へと旅できることにあると思います。
修善寺温泉の紡いできた歴史が長いからこそ、異なる時代の文芸作品を通じて、その時々の情景を現在の姿に重ねて散策すると、より楽しめるのではないか。文庫本のように手元に置いて、ある日の修善寺温泉をいつでもどこでも味わうことができたら面白いんじゃないか。
かつて温泉場を訪れた人々がそうであったように、お宿で本をゆっくり読んだり、書いたり、温泉に浸かりながらゆかりの人々に思いをはせたり。目にした風景からちょっと句を詠んでみたり。そんな楽しみ方を、今を生きる私たちもしてみたら、もっとこのまちを好きになるんじゃないか——
そんな思いから、テーマを「文芸」としました。
企画の立ち上げメンパーは、「地域の歴史や土地柄を大切にしながら、地域に深く根付くような取り組みをしていきたい」という共通の思いをもつ、「まくら文庫」の仲原さん、人力車の島川さん、「修善寺漱石の会」の会長・原さん、そしてわたしの4 人。それぞれ仕事を終えた夕方5 時頃から集まり、内容を詰めていきました。いつか読書会や吟行もしたいね、文学に関連するポードゲーム会も楽しそうだと、次々と湧き出るアイディアに、話が脱線することもしばしば。
一石庵での打ち合わせ風景。色々な資料もアイディアも次から次へと出てきて話が尽きない。
中身の構成を検討する際に参考にした「うたごえ通信」。一石庵の店主・原京さんが全て手書きで自主的に作成していた。
今後、このマガジンが、修善寺温泉の新しい楽しみ方を提供する場、読者と投稿者、地域内外の人々の交流の場になっていけたらと思います。創作活動にこれまで取り組んだことのない人も、気軽にペンを手にとって、またはスマホをぽちぼちとして、気軽に参加していただけると嬉しいです。地域内にどのようなムーブメントが生まれるのか。企画に携わるものとして、住民として楽しみです。
頑張って楽しく制作を続けていきますので、暖かく見守っていただければ幸いです。