地域の魅力に光を当てる

みなさんは、雅楽の演奏をじっくり聴いたことがありますか?
私は神社で偶然耳にしたことがあったものの、これまであまり触れる機会がなく過ごしてきました。

そんな中、今年のはじめ訪日外国人カップルの神社挙式をプロデュースした際、雅楽演奏家の二宮道輝さんに、挙式での演奏をお願いすることになったのです。
挙式の荘厳な雰囲気に、雅楽の音色がぴったりでとても感動し、「雅楽って、こんなにも心に響くものなんだ!」と、その魅力に初めて気づかされました。

そして4月のある日、二宮さんからご連絡をいただき、「外国人向けにどこかで雅楽の演奏体験ができないか」というご相談をいただきました。その瞬間、私の頭に真っ先に浮かんだのが修善寺温泉!
修善寺のノスタルジックな雰囲気と雅楽はきっと合うと思い、外国人向けの演奏体験の前に、まずは地域の方に雅楽の魅力を知ってもらおうと、温泉場内のレンタルスペース・most 8092さんで雅楽演奏会を開催することになりました。

5月17日の雅楽演奏会では、これまで雅楽に馴染みがなかった方にも親しんでもらえるよう、雅楽の歴史や楽器紹介を交えながら演奏していただきました。
龍の鳴き声を音にした楽器ともいわれる龍笛の奏者・二宮道輝さん、雅楽の旋律を吹く篳篥の奏者・齊藤豪さん、ハーモニカの元と言われる笙の奏者・西田美智子さんの3名による演奏となりました。

左から、篳篥(ひちりき)の奏者・齊藤豪さん、笙(しょう)の奏者・西田美智子さん、龍笛(りゅうてき)の奏者・二宮道輝さん。笙は温めながら演奏するため、西田さんの手前には電熱コンロが置かれている。

当日は琵琶や筝も持ってきていただき、普段なかなか目にすることができない楽器を実際に見たり聴いたりすることができました。

演奏だけでなく、雅楽にまつわるたくさんの興味深いエピソードも聞くことができました。私が印象に残っているのは、例えば「塩梅」「打合せ」「コツ」「二の舞」など今の私たちが当たり前に使っている言葉の語源が実は雅楽というものがたくさんあるというお話です。

また、笙の楽譜を見せていただきましたが、「これはお経?」と思ってしまうような漢字がずらりと並んだもので、とても興味深かったです。
演奏の後の質問コーナーでは、お客様からたくさん質問があがり、それに丁寧に演奏者の方が答えてくださり、会場は終始あたたかな空気に包まれていました。
この雅楽の演奏会を通して、今まで知らなかった新しい世界を知ることができました。
演奏を終えた奏者の皆さんが帰路に着く頃には、すっかり日が暮れた修善寺の街にレトロな看板の灯りがともり、雅楽の装束となんともいい感じにマッチしていて、本当に素敵な光景でした。「やっぱり修善寺と雅楽って合うなあ」と、あらためて感じました。

演奏終了後、帰路に着く奏者の皆さんの後ろ姿。まるでタイムスリップしたかのよう。

私は普段、伊豆地域の地域限定旅行業者として、地域の魅力を発掘できるようなプランを企画しています。

先日企画・開催したのは、函南町にある「かんなみ仏の里美術館」での仏像鑑賞と、長源寺さんでのお守り地蔵彫刻体験です。私は10年以上この地域に住んでいますが、伊豆地域が「実は仏像が熱い」ということを知ったのは昨年のことでした。地元育ちの友人に話しても知らない人が多く、「これはもったいない!」と企画しました。

また、雅楽と同じく「お香も修善寺にぴったり」と思い、most 8092さんで手づくりお香体験を開催しました。おしゃれな空間のなかで、その時の気分に合った自分だけのオリジナルの香りを作っていただきました。

地域の方にとっては当たり前だったり、そもそも知られていなかったような魅力や、古くから伝わる文化の奥深さに光を当てていきたい──そんな思いで、日々試行錯誤しています。

お香体験の様子。10以上の材料から、自分で決めたテーマに合うようにアドバイスを受けながら調香しました。

完成した印香。和風のモチーフでの型抜きをして、乾燥させます。そのまま置いたり、温めて香りを楽しみます。

雅楽演奏会のあと、「魂の奥に響く演奏を聴かせてもらいました」と言ってくださったお客様の言葉が、今も心に残っています。

誰かの心の栄養になったり、新しい価値観に出会えるような旅の提案を、これからも丁寧に続けていきたいと感じた貴重な経験でした。

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