秋深まる11月5日、スーパームーンの夜に修善寺温泉朗読会「月と珈琲と文豪と〜漱石さん月が綺麗ですよ〜」を開催しました。あいにくの雨で月は姿を見せませんでしたが、足を止めてくださる方が多く、静かな賑わいの夜となりました。
焙煎中の珈琲がはぜる穏やかな音と、しとしとと降る雨音が重なり、言葉を際立たせる心地よい背景音に。最初に朗読したのは萩原朔太郎『喫茶店にて』。何もせず過ごす閑散の時間こそが文化であり、太平の世の証であるという洞察が、温かな珈琲の余韻のように広がります。幕間、燕舎店主・勝野さんとの「ゆる文学トーク」は珈琲にまつわる文豪の逸話について。湯文好日で紹介された芥川龍之介の朝食の話題も登場しました。続いて寺田寅彦『コーヒー哲学序説』は、幼少期の思い出から各国のコーヒー文化まで、様々な角度からの深遠な論考。「コーヒーの効果は哲学に似ている」。思索を導く一作でした

朗読会の開催風景。足湯のウッドデッキを鑑賞席として利用しました。演出にもこだわりたいねということで、照明などは各自の店舗から持ち寄り。音響設備は地元の事業者さんがご厚意で貸してくださいました。
“コト”を売るコーヒー屋さん kotoによる、ハンドドリップコーヒーの提供。オリジナルパッケージのドリップバッグの販売も。


青空ブックカフェNossoNossoやまくら文庫、修善寺燕舎による小さな文学マーケットも開催しました。
休憩時間には主催のお一人でもあるkotoさんが一杯ずつ丁寧に淹れた珈琲を味わい、各ショップでは文学談議に花が咲いていました。
第二部は萩原朔太郎『月に吠える』。雨に揺れる灯りが、内省的な詩情と溶け合います。締めくくりは夏目漱石『夢十夜』より第一夜と第五夜。幻想の気配が夜の空気に立ち上りました。
桂川沿いの街明かりが美しい夜の修善寺。散策に文豪の言葉がふわりと寄り添う、余韻深い一夜となりました。