最近、または、いつだかに読んだ本 #01

このコーナーでは、修善寺に住む人や、修善寺に関わりのある人々による書籍紹介を掲載していきます。身近な人々がどんな本を読んで、何を思い、感じているのか、少しのぞいてみましょう。

『草枕』

夏目 漱石 (平凡社刊)

 『知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい』で始まる物語。

主人公は、旅の途中で寄ったお茶屋さんで二人の男に言い寄られた女性の話を聞きます。「ささだ男に靡こうか、ささべ男に靡こうか—」悩んだ女性は川に身を投げてしまいます。

 小説『虎渓橋』(p12)では、どちらかを選べずに身を投げてしまうくらいなら、どちらも愛せばいいというメッセージを込めています。

紹介者:まくら文庫
修善寺温泉入り口の週末だけオープンするブックカフェ。小説、洋書を中心に蔵書。オリジナルの文庫やZINEを発行する創作活動も行っている。
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☎ 090-3307-8232
OPEN 10:00-15:00(土・日営業)
修禅寺から徒歩10分
Instagram @makurabunko

『ぼくのたび』

みやこし あきこ (ブロンズ新社刊)

 主人公はちいさな町の「ちいさいけれど いごこちのいい」ホテルのホテルマン「ぼく」。世界中からやってくるお客さまを日々迎えながら、自分もいつかどこか遠くへ旅に…と思いをふくらませていくおはなし。

 小さなお店を営む自分自身に主人公の姿が重なり、旅に出たいなあという思いが穏やかに掻き立てられました。

知人から贈られて以来、リトグラフで描かれた絵も世界観も気に入って、何度も読み返しています。

紹介者:勝野美葉子
修善寺燕舎の店主。生まれ育った修善寺地域の活性化を目指し、お土産物などの商品開発やイベントの企画運営など、様々な活動に取り組んでいる。

『夜のピクニック』

恩田 陸 (新潮文庫刊)

 舞台は、1,000人の生徒が一昼夜かけて80kmを歩く、ただそれだけの学校行事。そこにある仕掛けをしてドラマが生まれていくる。

 目的もわからずゴールを目指して歩いた経験を持つ人は強い共感を覚えるはずだ。

 読後、「歩くということは、人生の代名詞」だと思うだろう。若者だけではない。大人たちもどこに向かっているのか確信をもてないまま歩いていることには変わりはないのだから。

紹介者:中郡 久雄
中小企業診断士。水戸一高卒。モットーは中小企業による地域活性化。WEBマガジン「MATOMETO」への寄稿などを通じて修善寺とのご縁を紡いでいる。
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修善寺温泉・住民発のローカル文芸マガジン『湯文好日』編集部です。様々な文芸作品を通じ、 季節や時代を超えて、 修善寺温泉を楽しんでいただけるようなコンテンツを発信しています。

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